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2013.06.12

星から来たくるる

 

 

 

☆星から来たくるる☆

 

もうどの位・・眠っていたのでしょう。

あたしの鼻先を潮風がくすぐり・・・目が覚めた。

あたしは如何してここにいるの?

そうだ・・・あれは・・・

季節が春から夏に替わるころ、激しい雨が降り続きました。

そして唸るような強い風。

真っ暗で怖くて、寒くて・・・

 

 

あたしは森の中の大きなガジュマロの幹にある、小さな穴に身を隠し眠りました。

雨もやみ、唸りを上げる恐ろしい風も収まり、空には綺麗に輝く南十字星・・・

 

 

海からそよぐ風は心地よく、それは子守唄の様に聞こえました・・。

あたしはどこで生まれて何処から来たのか・・・?

なにも憶えていません。

只ひたすら南に向かって歩き続けていました。

まだ歩くのやっとの頃、ぼんやりと目に映る南十字星を眺めているとさざ波の音に混ざって囁くような声が聞こえました。

南の街で家族が君をまっている・・・

確かにそう聞こえました。

 

 

さざ波の音とささやく声は砂浜に吸い込まれるように消えては、また寄せる。

生れた時からずっと一人ぼっちのあたし。

南に行くと家族に会えるの?

さざ波と風が運んでくれた声に導かれ・・・・

永い永い路を歩いて・・・歩いて・・・あたしはここにいる。

そして、何故か懐かしい浜辺を眺めているうちに。

眠ってしまっていた。

水平線から陽が昇り、浜辺の街並みがぼんやり浮かび上りました。

あたしはキョロキョロと街並みを見まわしていると・・・

目に留まった一軒の白いお家。

お家に近づいて行くと・・・とても懐かしい気持に成りました。

でも、そこは誰も住んでいない空家。

それでもあたしは何故かそこを離れる事ができませんでした。

そして幾日かした午後の事・・・

女の子と、そのお母さん?そしてお父さん??

3人の家族が白いお家に荷物を運びこんでいるのが見えました!

あたしは慌てて、白い家まで走って行きました。

そうすると女の子が走り寄って来て・・・・

貴方はだぁ~れ?何処から来たの?お家はどこなの~?

あたしは一生懸命、今までの事を全部全部・・・話したのだけど・・・

 

 

女の子は・・・ワンワンキャンキャン・・・お静かにって・・

次にお父さんがやって来て・・・あたしと遊んでくれました。

お母さんはちょっと離れたところでその様子を見ていました。

 

 

3人家族は荷物を家の中へ運び終えたようで・・・

何処かへ・・・行ってしまうようでした・・・。

帰り際に、お母さんがあたしの所へ・・・

頭を撫でてくれました。

とても温かで、悲しくなるほどの懐かしい香り・・・・。

あたしを待っている家族ってもしかして・・・そう思いました。

でも・・車でその場を立ち去る3人の家族。

あたしはそのあとを必死で追いかけたけど、車はどんどん小さくなって・・・

見えなくなりました。

悲しくて、色んな事を考えました・・。

さざ波と風が運んできた囁きは夢だったの・・・

それでもあたしはその家の側を離れる事が出来ずに、残り香を嗅いでいました。

とても・・とても懐かしい香り・・・。

あたしはいつの間にかその家の玄関の前で眠り込んでしまいました。

どれ位時が経ったのでしょう。

おお~~居た居た!!

あの時のお父さんの声で目が覚めました!

ほら。やっぱり待ってたでしょって、満面の笑顔で女の子が近付いてきます。

お母さんが・・・ほんとだねぇ~何か縁があるのかもしれないね~って。

あたしは自分でも千切れてしまうんじゃないかと思うほど・・・

尻尾が振れて・・・振れて・・・止まりません・・。

そしてあたしは女の子から名前を付けてもらいました。

くるるって名前。

 

 

南の島の永い永い夏も終わりに近い頃・・・私の旅も終りを告げました。

とても幸せな終わり。

そして・・・浜辺に建つ一軒の白いお家。

あたしのそして家族の新しい旅がここから始まろうとしています。

有る日の午後、女の子と浜辺を散歩している時でした・・・。

 

 

また、あの時の声がさざ波と風に乗って聞こえてきました。

その子はあなたのお姉ちゃん、お父さんもお母さんも家族だよ。

私は南十字星、あなたを家族へと導きました。

貴女の名前はくるる

くるるとは扉を開く為の要。

心棒、心の要の事なんだよ。

あなたは家族の心を開き、そして紡ぎ、絆となって育んでいくこと・・・

それがあなたの・・・命輝く時の旅・・・分ったかい。

うん、分かった!あたしはくるる、頑張るよ!

 

 

お姉ちゃんにも・・その声が聞こえたのかも知れません。

海からそよぐ潮風に・・・不思議そうに耳に手を当てて・・・

くるるっ!さぁ帰るよって!!

 

 

空から降る一億の星?見上げてごらん夜の星を

 

このお話は2011年12月7日に親愛なる奄美大島の友人に送ったものです。

辛い事、哀しい事を乗り越え島で暮らす友人家族とくるるとの出会い。

偶然とは思えないその出会いに私が感じた事をお話しにしてみました。

今はご家族にもくるるの弟とも言うべき命が誕生しました(^○^)

今日、その動画を見て思いました・・・何時か弟くんにも読んでほしいなって。

過去ログからこちらに移すべきだなぁ~と思った次第です。

 

ブログ みしょ-れ奄美
http://ameblo.jp/mishore-amami/

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