2016.08.24
クロモリシャフトなお話
鈴鹿8耐が終わったからかも知れませんがBOのゼロポイントシャフトが予定の納期より随分早く入荷いたしました^^
まぁそんなこんなお話ですが・・・・。
先日、お客様からある所でこんなコメントを見た・・と・・質問を受けました。
ある方がフロントのアクスルシャフトの曲りに気が付き、この機会にクロモリシャフトに交換しようとショップに相談したところ・・・・
ショップのメカニックから何故STDのアクスルシャフトが曲がるのか分かりますか?
クロモリの様に一部だけ剛性の高いものを使用すると周辺との剛性バランスが崩れもしもシャフトが曲がらなかったら如何なっていたと思いますか・・・・と。
まぁホイルベアリングやハブ、フォ-ククランプにダメ-ジを受けていた・・・・みたいな事でしょうか。
と言うか曲がったシャフトを抜き取る場合、逆にダメ-ジが加わると思いますけど。
またクロモリアクスルシャフトを装着した事が原因でホイ-ルベアリングが破損した方も居られるらしい。
ショップに相談したらこんなもの(クロモリシャフト)公道で使用するからこんなに事に成る、なので保証は出来ないとの対応だった・・・とか? クロモリシャフトは何処で購入したのでしょうか?他のショップで購入したのでしょうか? 何方のお話も何だかつじつまの合わない話ですね。
そもそも何故STDのアクスルシャフトが曲がったのでしょうか?アクスルシャフトが曲がるような衝撃はまずホイ-ル、フロントサスペンションに加わり結果としてアクスルシャフトが変形したと考えるのが普通ですが・・・・シャフトだけ曲ったって・・・・(-_-;)
とは言え私自身が車体の設計が出来る訳もなく金属の知識も深いわけではありません。
またよく耳にする話はBMWモタ-ドのホイ-ルは割れるより曲がる方が安全と言う観点から熱処理法が焼鈍処理である・・みたいな・・ただし、本当のところは存じません。
フェイルセ-フやフォ-ルトトレラント的な考えに基づいているのだろうと思いますけど。
兎に角、専門家の意見を聞いてみようと。
仕事柄バイクメ-カ-の設計さんや地域がら金属の専門家さんと親交があり、色々とご意見をお伺いいたしました。
その中でかつて一世を風靡したSSモデルのホイ-ル設計担当の方に色々と質問してみました。
まずアクスルシャフトに関して大型車の場合炭素鋼を採用することが多く欧州車ではクロモリを採用している機種も有るそうです。
またこの箇所に関して折れるより曲がる方が良いという考え方もなく曲がらない折れないが基本だそうです。
衝突などによる衝撃試験は4輪車の様な形で行う事は少なく業界ではHONDAさん違った意味で実施しているだけで衝突実験によるアクスルシャフトの具体的デ-タ-は無いらしい。
無論、シャフト単体の試験デ-タ-は有るとのことです。
またアクスルシャフトが変形するような衝撃を受けた場合、先ずはタイヤ・ホイ-ルにダメ-ジが加わりそしてフロクトフォ-クなどにダメ-ジが至ると。
またアクスルはサスペンションを構成する剛性部材の一つなので、高い剛性・強度が求められる。
またホイ-ルベアリングの破損はある程度の精度を担保しているクロモリシャフトに起因することは考えられないとも言ってました。
もしもアクスルシャフトの不具合が原因でベアリングにダメ-ジが有るとするならその場合、炭素鋼とかクロモリとかと言う材質に起因するとは考えられないとのご意見でした。
とまぁ、私がいつも考えている事と同じ答えで、まぁそりゃそうだって話です。
通常走行の場合、路面からの衝撃はタイヤ、そしてサスペンションシステムが受け持つ、つまりはショックアブソ-バ-であって衝撃緩衝を受け持つのはアクスルシャフトではなくシャフトはシャフト。
参考までに四輪車の開発の知人にも聞いてみた。
例えばハブ周りの場合、ホイ-ルスタッドボルトやバブや軸がサスやハブベアリングやその周りの保護のため意図的に剛性を落とすことは有りえない、それこそ重大な事故につながる、某社のリコ-ル隠しでも解るでしょって話でしたね。
金属の専門家の話も参考までに記しておきますが、クロモリ鋼はそもそも機械的性質に優れ剛性、強度ともに高く且つ靭性に優れるため適度なしなりが発生し振動の吸収性にも優れる。
また加工性に優れるため高精度で仕上げることが比較的容易であると仰ってました。
故に自転車やバイクのフレ-ムに好んで使用されているし航空機の脚部品、エンジンの部品にも多様に使われています。
恐らくクロモリシャフトに置き換えてメリットとして現れるのは高剛性、高強度を持ちながら靭性が高く高い精度で加工することが可能である事ではないかと個人的には考えています。
とは言え・・・・・
別に私はクロモリシャフトをメッチャ推奨しているわけではありませんしクロモリシャフトはPEO社だけでなく色んな会社が製造販売しています。ラジカルさんや有名処ではビト-R&Dさんとか有名ですよね。
PEO社との取引も決して特別な条件でもなく、どちらかと言えば商売としては旨味がない方です(;’∀’)
長い記事になりましたが商品として取り扱っている以上、ポジ・ネガをキチンと説明する責任があるとのご指摘もあったので出来る範囲で調べた次第です。
まぁネガは重くなることですが、レ-スなどでは場合によってアクスルシャフトにタングステンのバラストを仕込むこともあります。
なので重いイコ-ルNGと言う訳でもありませんからねぇ。
まぁシャフトに限らず剛性や強度が高すぎて問題だと言うならマルケジ-ニの鍛造ホイ-ルなんて・・・・ヤバイぞって話に成りますね・・・ご安全に!